日本鯨類研究所のお金の流れ
「調査捕鯨」は水産庁の“天下り”“利権”のショーケース (1)
日本鯨類研究所のお金の流れ
今朝の朝日新聞に「調査捕鯨、懐もピンチ 国からの融資10億円返せず」という記事が掲載されました。
掲載本文は朝日新聞のWebサイトからも読むことができます。
朝日新聞
「調査捕鯨、懐もピンチ 国からの融資10億円返せず」
2008年02月02日
この記事の中には、この調査捕鯨の主体である日本鯨類研究所のお金の流れがわかりやすいように図解してあるので、この問題に少しでも興味のある方は必見です。
この記事によると日本鯨類研究所(鯨研)は、06年度決算で、国から無利子で借りていた36億円の運転資金のうち10億円が返せなかったといいます。そして、結局この10億円は、07年度から4年間の分割返済にしてもらったというお粗末さ。
しかし、この「調査捕鯨」というリスクが大きい事業に融資するというのは、どういう銀行かと思ったら、やっぱり民間の銀行ではなかったのです。
この36億円を融資しているのは、鯨研と同様に農林水産省所管の財団法人である、海外漁業協力財団。この財団自身も毎年12億円規模の補助金を農林水産省からもらい事業を行なっています。
つまり私たちの税金がここでも調査捕鯨に使用されており、その挙句には返済が不可能になるという無責任な融資が行なわれているのです。
さて、この海外漁業協力財団。ちょうど良い機会ですので、少しご紹介します。
海外漁業協力財団(OFCF)のWebサイト
まずは、OFCFの役員を見てみましょう。
それは水産庁のお役人さんたちの「天下りのショーケース!?」のような財団でした。
理 事 長(常 勤) 嶌田 道夫 元水産庁長官
常務理事(常 勤) 粂 知文 元水産庁資源管理部審議官
理 事(非常勤) 石川 賢廣 元水産庁次長
理 事(非常勤) 中須 勇雄 元水産庁長官
理 事(非常勤) 畑中 寛 元日本鯨類研究所理事長
理 事(非常勤) 米澤 邦男 元水産庁次長 (元IWC日本代表)
理 事(非常勤) 澁川 弘 元水産庁研究部長
すべての理事のリストはこちらから
理事長は、元水産庁長官。そのほかにもかなり水産庁関連の方が名を連ねています。
さらに注目すべきは、昨年まで鯨研で理事長をやっていた畑中寛氏が非常勤ですがここに理事として名を連ねていることです。
つまり、今回の朝日新聞の記事にあるように、鯨研が融資を返済できなくなるという運営を行なっていたその時の当事者が、融資側の理事として名を連ねていると言うことになるのです…。
借金を返済できないような団体運営をしていた人が、融資をする側で自分が作ってしまった借金を「それでは、4年に分割して返済してください」と言う側にいるという現実は、通常の世界では想像することができないでしょう。
「水産庁所管団体の常識は、世界の非常識」なのかもしれませんが、ここまでとは…。
このような現状を知れば知るほど、福田首相や町村官房長官が「調査捕鯨は合法であり、日本の正当な権利です」というお決まりのセリフが今日の東京の天気のように「寒く」聞こえてくるのは私だけでしょうか?
<今後も、日本鯨類研究所と海外漁業協力財団に関しては、もう少し書いていこうと思います。お楽しみに!>